昔の話

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昔の話

 ※   ※   ※ 「ねえ、ミキちゃんは、どうして僕と一緒にいてくれるの? 僕と一緒にいたら、ミキちゃんまでいじめられるよ」 「わたしが誰と一緒にいてもいいでしょ? それに、いじめられても別に平気。そうなったら、シュン君が一緒にいてくれるでしょう?」 「……分かんない。その時にならないと」 「はは、正直者~。じゃあ、もし将来、わたしたちが離れる時が来たら教えてあげるね、わたしがどうしてシュンくんと一緒にいるのか、その理由」 「えー、今がいいよ。そんな日、来ないかもしれないじゃん」 「そうだねえ、そんな日、来ないといいよねえ」 「そうだよ、きっと来ないよ」 「分からないよ~、だってわたしたちまだ小学生だよ?」 「……早く大人になりたい」 「わたしも~! あ、じゃあ大人になってもまだわたしたちが仲良しのままだったら、その時に教えてあげるよ、理由」 「長いよー、大人って何歳? 何年後?」 「んー、二十歳かな? 今が十歳だから十年後。あっという間だよ、きっと」 「そうかなあ」 「ねえ、指切りしよ。絶対忘れないから。だから、その時まで待ってて。わたしと一緒に大人になろうよ」 「……分かった、約束」 「約束。これからもよろしくね、シュン君」  それは、二人の約束が果たされる八年前のお話。
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