ライオンとイノシシ

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ストッキングは、演劇部の備品だった。 割りと、使用頻度も高いらしく、母親たちのお古が気軽に手には入ることもあってボロボロになったストッキングは無造作に「ご自由にどうぞ」と書かれたリサイクル箱に入れられている。 そのストッキングは学校の誰もが持っていっていいことになっていて、割りと掃除の時などに活躍していた。 モップに着けて届かないところのホコリをとったり、ちょっとしたスポンジの様に使ったり、要らなくなれば捨ててしまえるので利便性がよかった。 私も掃除のためにストッキングを入手しなくてはならなかった。 体育祭も近く、体育倉庫からいろいろな準備でものを出し入れしていたら、体育館が汚れてしまい部活の前に綺麗にしておくように顧問から命令されているわけだ。 これも地味な部長の仕事である。 ずっと網タイツと白タイツを押し付けあってる二人を放置して、リサイクル箱を覗くとなんとそこにはストッキングが1つも残っていなかった。 仕方がない。 二人に声をかけよう。 部活の皆も待ってるし、なきゃないでどうにかなるかとも思うけど、出来ることはしなくては。 「あの、二人ともそのストッキング、使わないならのがあるなら私、もらってってもいい?あっタイツで大丈夫なんだけど。体育館の掃除に使いたいんだわ。」
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