ライオンとイノシシ

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「隣のクラスの内田が、そんなに足がボロボロならストッキング使えばいいよ。 ストッキングなら延びるし、足が痛くないよ。それに反則でもないし♪ って教えてくれたんだよ!!」 斎藤がモノマネを織り混ぜて伝えてくれた。 なるほど、そういうことか… 「松石、斎藤。ストッキングは、履くんじゃない。二人を繋ぐ物なんだよ。」 二人の足首を交互に指差す。 二人三脚で足を痛める生徒が相次いだ為、たすきだけじゃなく、タオルやストッキングも足を繋ぐ物として使うことが認められていた。 ただ、男子はたすきに拘る者も多く実際にストッキングを使っているペアはほとんどいなかった。 松石と斎藤は愚かな戦いをやめ、二人で仲良くストッキングを持って、練習場へ去っていった。 「さっきはごめん、これ。」 去り際に斎藤から差し出された白タイツを私は、笑顔で受け取った。 体育館に戻って白タイツを使って掃除をすると、汚れがよく分かって部員皆で興奮しながら体育館中のホコリを集めてやった。 松石と、斎藤がそれまでの体育祭記録を上塗り一番でゴールテープをきる一週間前の話だ。
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