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翔太は耐えきれず、絶叫しながら走り出す。
ドアを開け、女の家から出ていった時…
「……!」
目が覚めた。
彼は夢を見ていた。
(くそ……!)
翔太は、怒りに顔を歪めながら体を起こす。
枕を後ろ手で持ち上げ、力任せに投げ飛ばした。
(もう2年くらいたつってのに、なに思い出してんだよ!)
充電器にセットされていたスマートフォンが通知音を発したのは、そんな時だった。
「チッ!」
大きな舌打ちとともにそちらを見た翔太は、ベッドから下りてすぐそばのローテーブルに近づく。スマートフォンを手に取ると、通知を確認してメールアプリを立ち上げた。
画面には、何人もの女性の名前がずらりと並んでいる。彼はいくつかのメールを開いた。
”ちょっと聞いてよ、ダンナってばほんとにクソでさ…もうあたし決めた! キミとデートする!”
”ダンナは出張に行っちゃったから、今週はけっこう会えるよ!”
”次に会う時は、プレゼント期待しちゃっていい? そのかわり、ダンナにしないようなこと…してあげるしっ”
人によって細かな差異はあるものの、女性たちからのメールには共通しているものがある。それは夫を裏切っているということだった。
メールを読み終わると、翔太は暗い笑顔を浮かべる。
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