歪んだ鍵

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(電話ボックス…ワンピースとデニムのジャケット、ね)  翔太はスマートフォンから目を離し、駅前をざっと見渡した。駅舎を左に曲がる角に電話ボックスがあり、そばに誰かが立っている。  その服装は、マイコのメールにあったものと同じだった。 (あれか…ん?)  翔太は、首をわずかに前へ伸ばす。彼女が何か長いものを持っており、それが何なのか気になったのだ。  2秒ほど凝視すると、彼はその正体に気づく。 (おいおいおい…!)  素早く駅舎の中に戻り、電話ボックス方面から見えないように隠れた。  壁に背をつけた彼は、悔しげに歯噛みする。 (杖なんか持ってやがる…! やらかした!)  翔太は、決断をしくじったと後悔した。マイコが持っていた長いものとは、松葉杖だったのだ。 (しかも帽子かぶって、グラサンとマスクで顔隠してやがる…怪しさ大爆発じゃねーかよ、くそぉっ!)  壁から背を離し、そっと陰から顔を出す。電話ボックス方面をもう一度見た。  ここで彼は気づく。 (あれ…?)  電話ボックスから少し離れた位置に、ベンチがある。  そこには誰も座っていない。  この駅前には人通りがほとんどないため、誰かが座りそうな雰囲気もなかった。 (足が悪いんじゃないのか? なんで座って待たないんだ…?)     
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