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「公園の手前の踏切で、電車にひかれて…今、死んだ事が確定されたらしい。」
変な沈黙が訪れた。
たまらず、私は震える声で反論してみる。
「…那由多…変な冗談は、本気で許さないから。」
「彩花、現実から逃げるな。」
「…っ」
那由多の真剣な声に、何も反論できなくなった。
「とりあえず、踏切の所に来い。」
「いや、だ…。」
だって、そこに行ったら、嫌でも朔が死んでしまった事を現実だと認めないといけない。
そんなの、嫌だ。
だって今日は、私の誕生日なんだよ?
スーパームーンが見える日なんだよ?
一緒に見ようねって…約束したのに。
「朔…。」
手が震えて、携帯が手から滑り落ちた。
ガシャン!!
その音で、我に返る。
「彩花?!」
微かに聞こえる那由多の声がかろうじて耳に届く。
私は、走り出した。
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