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鹿狩り
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鹿狩り
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それから、半月後。
今日は、機織り小屋の外が朝から騒がしい。
馬の蹄の音
嘶く声
人々の声
弓鳴りの音
昨日、ハヤが言っていた。
今日はこの辺り一帯で、香久山大王一行が鹿狩りをすると。
きっと、大王たちが鹿を追って、野山を駆け回っているのだろう。
しかし、そんな事は私達には関係ない。
私達は、いつも通り、黙々と機を織り続ける。
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昼過ぎになり、遠くから雷鳴が聞こえた。
かと思った次の瞬間、
ドン!!
ゴロゴロ、ガッシャーン!!
耳を劈くような雷鳴が轟いた。
「キャー!!!!」
私は母と悲鳴をあげる。
心臓がバクバクと大きな音を立てる。
「な、なに?」
私がようやく口を開くと、
「雷よね。すぐそこの桑の木にでも落ちたのかしら。」
と母が答えた。
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