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そんな、今すぐにでもこの宮廷から追い出されてもおかしくない立場の私だけれども。
それはアカツキが必死に周りの人達に説得をしてくれるからだ。
彼のお蔭で、私はここにいられる――けれども。
私はそんな死人と同じようなことはしたくない。
何も出来ず、何をすることも許されず、ただ鬱陶しがられる存在――そんな人生はもう嫌だ。
私は磨き上げた舞いを踊る為に生まれ、その舞いを踊って死ぬ。
それが私の最後の願い――その願いをアカツキは知っているからこそ、そこで言葉が止まったのだ。
でもこんな沈黙の空気なんか、私には耐えられない――だから。
「アカツキ――ちょっとここで演奏してみせてよ」
「は? なんでいきなり……?」
「あなたの奏者としての腕が鈍っていないか気になるのよ。ほら、分かったらサッサと楽器を取りに行きなさいよ。じゃないと、私が代わりに取りに行くけど?」
「わ、分かったよ! だったらその間、ここから絶対に動くなよ! 分かったな!?」
「逆に訊くけど、この身体で動けると思う?」
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