一凛の花は枯れて

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 私は今まで私の身体を隠していた毛布をはがし、自分の足をアカツキに見せる。  ――病に罹るまでは透き通るような肌だとアカツキに言われた私の両足は、既に砂と化しつつある。  あともうしばらくすれば、私の身体から『足』というものは無くなってしまうだろう。  それが分かっているからこそ、自覚しているからこそ。  これを使い、私は意地悪するように、アカツキにサッサと自分の楽器である『琴』を取りに行かせた。  それを確認した私は、 「さて――そろそろ支度でもするかな」
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