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軽い身支度を終え、彼がもうすぐ帰って来ることを悟った私はこの身体全体を毛布で隠す。
そう――私が考えている計画は、まだ彼に話していないのだ。
この計画を彼が知ってしまえば、彼は何が何でも私の計画を止めるだろう。
そこが彼の長所でもあるが、欠点でもある。
つまり――頑固でお子様なのだ。
だからこそ、私は彼が自分の楽器を取りに戻ってきたその時を狙う。
いや……もうその時しかないのだ。
彼が何と言おうとも、私の身体は、命は……もう永くないのだから。
だからせめて……幼馴染の、最愛の人の前で、自慢の舞いを踊って――
「待たせたユリネ! 持って来たぞ!」
「随分早かったけど、もしかして全速力で走って来たの?」
「悪いかよ?」
「いいえ、全然。それじゃあ、早速あなたの自慢の音を奏でてちょうだい」
「任せろ」
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