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――――……
「――お見事。やっぱり腕は全く鈍ってはいないみたいね」
「だろ? 俺が奏でる音が鈍るわけがねぇ」
アカツキが奏でた音――その一曲を聴き終えた私は拍手の代わりに笑顔を見せる。
拍手なんかしてしまった際には、私の計画は水の泡になってしまいかねないのだから。
「じゃあ、そろそろ俺は――」
「待って」
用が済んだアカツキが部屋を出て行こうとした瞬間、私は彼を呼び止めた。
それは――まだ私の用が済んでいないからだ。
「アカツキ――このままで良いから、外に連れてって欲しいの」
「――なんで?」
「最近ずぅっとこんな窮屈な部屋の中で過ごしているんだもの。たまには外の景色を見ても罰は当たらないでしょ?」
「――そういうことか。ンじゃ、しゃあねぇな」
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