その花は一凛の白き花となり、咲き誇る

1/7
前へ
/24ページ
次へ

その花は一凛の白き花となり、咲き誇る

 ――アカツキに行かせた場所は辺り一面何もない、ただ土があるだけの場所だ。  空の色は真っ黒――夜だから。  だからこそ、私の舞いはより一層――輝く。 「こんなところに来て、お前は何をしようと――」  アカツキに最後まで言葉を言わさず、私は彼の腕の中から逃れるように、地面に降り立った。  その衝撃で足がほんの少しだけ砂に変わったのが分かる――けれど。  私は、私の最後の願いを叶えなければいけないのだから。 「アカツキ――ここで一曲、私としましょう?」  私は全身に被っていた毛布を脱ぎ捨てて、その姿を彼に見せる。  かつて『一凛の花』なんて呼ばれていた私の衣装は――今回は真っ白な衣装に合わせた。  暗い闇の中で“白色”をこれ以上ないぐらいにアピールする。  そう――この何もない場所こそで。  私は、『一凛の花』は――白く咲き誇るのだ。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加