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その花は一凛の白き花となり、咲き誇る
――アカツキに行かせた場所は辺り一面何もない、ただ土があるだけの場所だ。
空の色は真っ黒――夜だから。
だからこそ、私の舞いはより一層――輝く。
「こんなところに来て、お前は何をしようと――」
アカツキに最後まで言葉を言わさず、私は彼の腕の中から逃れるように、地面に降り立った。
その衝撃で足がほんの少しだけ砂に変わったのが分かる――けれど。
私は、私の最後の願いを叶えなければいけないのだから。
「アカツキ――ここで一曲、私としましょう?」
私は全身に被っていた毛布を脱ぎ捨てて、その姿を彼に見せる。
かつて『一凛の花』なんて呼ばれていた私の衣装は――今回は真っ白な衣装に合わせた。
暗い闇の中で“白色”をこれ以上ないぐらいにアピールする。
そう――この何もない場所こそで。
私は、『一凛の花』は――白く咲き誇るのだ。
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