一凛の花は枯れて

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 小さい頃から何度も何度も猛特訓をして、積みに積み重ねたこの舞い――私以外に舞うことが出来る人は出来ず。  また、真似をすることも出来ない。  これは私の人生の結晶なのだから――そんな簡単に真似出来るものか、追い抜かせるものか。  だから……だろうか。  その結果――私が“ある病”に罹り、二度と舞うことを許されなくなったのは。  私の身体を突然蝕んだ病――それは奇病で、治す方法はない。  何故ならば――この病は私の身体を『砂』に変えてしまう、不思議な病だからだ。  一体どういう仕組みで、どういう変化で私の身体が『砂』に変わってしまうのかは分からない。  だから……私のこの病を治す方法はこの世に存在せず。  私は二度と『舞う』ことを許されなくなった。
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