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この夜という黒の中で咲き誇る『一凛の白い花』を――彼の頭に、眼に、身体に、魂に刻むのだ。
例えこの身が今すぐにでも全て砂に変わろうとも。
例え彼自身が事の顛末を悟り、泣きじゃくって、もはや曲を奏でることも、私の姿を見ることが苦痛になっているとしても。
私は――舞う。
枯れた大地に咲く、たくましい花のように。
私もまた、この枯れた身体の中にある魂で舞うのだ。
……けれども何事も終わりは来るものだ。
彼の演奏がもうすぐ終わる。
そして……私の命ももうすぐ終わる。
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