その花は一凛の白き花となり、咲き誇る

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 私の舞い――その激しい動きに耐え切れなかった私の身体は、もう四割以上が砂に変わってしまった。  今生きていること自体が奇跡――それなのに。  その砂は私の舞いに合わせて、私の周りに舞い散り、私を更に綺麗にさせてくれる。  まるで私の肉体が、魂が彼に『最後まで見て』と言わんばかりに。  私の身体は、魂は、彼の為だけに今日この時まで待っていてくれたのだ。  だから――私は満足だ、大満足だ。  もうやり残したことはない、全て終わった。夢が叶った。  私は最期の最後で、私が踊り子を目指すきっかけをくれた彼に。彼だけの為に。  この自慢の舞いを見せることが出来たのだから――ッ!
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