一凛の花は枯れて

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 けれども、この奇病は急速にではなく、徐々に私の身体を砂に変える。  だから私は奇病に罹っても未だに生きている。  それにこの病は周りには感染しないらしい。  私の粘膜、汗、肌を他の人が触れてもその奇病に罹ることはない。  大方、私のことを妬ましく思った誰かが私の食事の中にこっそりとそのような病に罹る毒でも仕込んだのだろう。  そう思うことは仕方のないことだ――私は本当に別格の踊り子だったのだから。  周りからそう妬まれることは分かっていた、知っていたことだ。  だからそのことに、私は怒りは感じていない。そもそも怒ってはいない。  私はもう十分に舞いを踊ったのだ――これ以上ないほどの舞いを、この身体で踊り続けたのだ。  それが私にとってはとても誇らしい。  この身体全てが砂に変わり、私が死んでも、あの世への最高の手土産になるぐらいにだ。
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