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嗚呼……だけど。
私が――私が一番この舞いを見せたかったのは彼らではない。
私が見せたかったのは……私が一番見せたかったのは……
出来ることならば――もう一度……
「ユリネ! 大丈夫か!?」
病を患い、動けない私が寝台で横になっている部屋に、幼馴染のアカツキが入って来た。
彼は私のパートナーだ。
……いや、元パートナー……か。
彼は私の舞いを更に美しくさせる為に“音”を奏でる奏者だ。
私と彼は二人で一人――だから私は今まで彼が奏でる音のお蔭で、これ以上ないぐらいの舞いを踊り続けることが出来た。
その彼がいきなり大声で部屋に入って来たということは、大体の予想はつく。
だから私は思わず彼の目の前でため息を吐いた。
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