一凛の花は枯れて

6/17
前へ
/24ページ
次へ
 でも――私はこの身体をアカツキに見せたくない。  アカツキが『綺麗だ』と褒めてくれたこの両の指の手も……今ではたったの六本しかなくなってしまった。  アカツキが『惚れそうだ』と言ってくれた私の顔も……片頬の表面が砂に変わり、今にも口の中が見えそうになっている。  そんなアカツキに、これ以上私の姿を……変わり果てた私の姿を見せたくないというのに。  彼は相も変わらず、私の元に訪れては看病、もとい元気を付けに来てくれる。  まあ……今の私にとっては、それが一番の楽しみなのだけれども。  何だか複雑な気分になってしまう。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加