転落

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宇宙船の発着所。そこは小さなバス停の様だった。透明な液体の様なものに宇宙船の発着場のレールは包まれていた。液体の様な物の前に下半身が焼き切れている跡がある、ロボットが備わっていた。そのロボットにアンがカメヤマの分のチケットを渡すとロボットは腰につけている、リモコンを押して透明な液体を広げた。 液体は私達を発着所へと誘った。外では中が透明に見える様になっており。発着所には5~6人の人が立っていた。 見慣れた人物も立っていた。茶色い蝶ネクタイに黒いセーター、そしてダボダボの黒いジーンズ。サイアンだった。顔には少し切り傷が入っており、その傷が彼の口元にシワの様に刻まれている。少年のサイアンが口元にシワが作られるとこんなに年寄りに見えるのかとカメヤマは思っていた。 サイアンは背中に150cmも無い自身の体の半分程の大きさのリュックを持っていた。縦に半分では無いのだ、横に半分なのです。その姿はショウリョウバッタを彷彿させた、しかし何故かカメヤマはその姿を氷山の様に感じた。氷山の水面上から這い出るあの平和では無い感じ、サイアンがあんな荷物を持っている所を見てなかった彼はその違和感を海に這い出る氷山だと思ったのだ。
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