5人が本棚に入れています
本棚に追加
サイアンはカメヤマ達に気付くと少し苦笑いをしながら寄ってきた。
サイアンはカメヤマの肩に手を置いて。先生ご無事で何よりです、私達はエウロパに行くのです。と言った。
彼はその言葉の続きを考えていた。贅沢で肥え太った彼の顔は自分の肩を最大限に覆っていた。そのため顔の一番端に存在する耳は、サイアンの腕時計の金属と触れ合う事になった。その冷たさがカメヤマの頭を冷めさした。
これからどうするのだろうか、一生開拓惑星の隅っこで人から顔を隠して生きていくのだろうか。
カメヤマは少し顔を赤らめた。
待っていた乗客の一人がカメヤマに気付いた様子だった。
サイアンはやっと言葉を見つけて話し出した。先生僕たちはどうすれば良いのでしょうか…。その言葉に悪意を感じた。そう青春真っ只中の自分の人生をどうしてくれるのか。そう聞こえてきそうだった、カメヤマの心臓は少し脈打った、そのサイアンの言葉に少し怒っている。私が聞きたいと。とカメヤマはなるべく大人しくサイアンに言った。
サイアンはその言葉に対して、顔を赤らめた。
サイアンが口元を動かした時、アンが話しに割り込んで来て、外を指差した。
透明な膜の外からこちらへと足早にビームアサルトライフルを携帯した、一つ目のロボットが先程カメヤマに気付いた客に連れられて来ている。そうカメヤマは薬物と言えども無差別にバラ撒いたのだ、そして追い込まれている。そんな人間が密室空間に入ってきた仲間と一緒に、薬物をバラ撒くのではと考えるのが普通であろう。
カメヤマの鼓動が早まっていた。サイアンの顔は強張っていた、カメヤマに考えは無かった。膜の外からビームアサルトライフルの銃口が濡れて虹色に輝いていた。ロボットはビームアサルトライフルの引き金にもう指を掛けていた。ロボットは迷いなく、三人の頭に命中させるだろう、二人の脳は床に撒かれ、一人はただその空いた風穴から電子回路の火花を見せるだろうか。
カメヤマは焦っていた、「3333333333333333」数字の中で一番言いやすいであろう、その文字が心臓の中を駆け回ったいた、駆け回る文字は耳に骨に脳に命の危険を「33333333333」と足早に伝えた。
最初のコメントを投稿しよう!