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「間違いないです、カメヤマですよ。」
そう言った声の主のビジネスマンは乗船場の入り口を指差していた。
ロボットは彼の声に反応せず、ライフルの引き金にブリキの指を掛けていた。そして銃口は乗船場へと注がれていた。
ヌメヌメとした膜が花開き、彼らを中へと招き入れる。
ロボットの赤いセンサーアイが乗船場の中を右へと左へと覗き込む。そしてライフルの銃口を下ろし、引き金から手を離して、不気味な金属音を膝の関節から鳴らしながら元の場所へと歩いていた。それは今までそれの仕事をしていなかった。それの仕事は犯罪者の排除である。しかしこの小さな発着場以外何も無い辺境の町には犯罪者等居なかった。そのロボットはそろそろお役目が終わる予定なのだ、最新形の警備ロボットが発売されるのでこの街の警備会社の社長はそれを買う契約までしていた、警備ロボットはお役目が終わるのだ。ぎぃぎぃと膝を鳴らして坂を下りていく。
ビジネスマンはカメヤマ達が居なくて少し恥を感じたが直ぐに乗客の列に加った。
一方当の本人達は乗船場から離れていった。
「マサカこんな田舎でカメヤマさんを知っているとは…」サイアンの声だ。
「死ぬかと思ったよ…」カメヤマが中年に似合わない上ずった声で切れ切れで言う、発着所から抜けた瞬間彼らは走って離れたのだ、一番年寄りの彼が息が絶えるのは仕方ないだろう。
そんな彼等を見ながらアンは、少しため息を吐いてみた。そして溜息を吐いてそれを誇りに思った。私ってこんなヒトみたいな事できたのね。とアンは思っていた。
クマバチはフワフワと太陽に向かっていた。
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