星見

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カメヤマは手品師であり、コスモポリタン中で有名な手品師だった。彼の手品は妙技で異常に発達したコンピューターでもタネが解らなかった。 彼は今はコスモポリタンで三本の指に入るサーカスの団員だ、ハラショーと呼ばれるサーカス団だ。 今話しかけてきているアンドロイドはサーカスの雑用係だった。 名前をアンと云う、ただのアンだそれ以下でもそれ以上の文字数でも無い名前だ、サーカス団の団員の殆どは彼女の事を「オイ」やら「能無し」等と呼ぶ、しかしカメヤマは「ミス・アン」と呼んでいた。カメヤマは暗闇の中チカチカと青い閃光の放つ、アンの目を数秒見た後、アンの方へ歩き出した。 「今回は何人いるんですか?」 そうおっとりとした声で聞いた、 「五万人ほどです、スタジアム内が満員ですよ」 機械音声にしては良くできた声で話した、 顔さえ見なければ人と見間違えるだろう、後アンドロイドとバレるとすれば背中のバーコードだろうか。 昭和記念公園を抜けると道と云う道に列ができていた、ピエロ達が客を退屈させないよう芸をしていた。客はカメヤマに気付くと歓声を挙げて写真を撮った。カメヤマはビジネススマイルを顔に貼り付けた様に急変して笑っていた。笑いながらだったがアンは顔を伏せていた事を見た。 空には小型の楕円形の宇宙船が[ハラショーハラショー、こちらハラショー、皆さまにコスモポリタン中を探しても見つからない、ハラショーにしかいない、魔術師を魔術をお見せしましょう!]とアナウンスをしていた。 スタジアムにレッドカーペットが続いており、そのカーペット内を守る様に警備員が両端に並んでいた。カーペット内を映画スターの様に有名なサーカス団員が練り歩いていた。 カメヤマは宙に浮いているピエロを見つるとワザとらしく客に目配せをするとハットの中から細長い鉄棒を取り出した。その鉄棒に手を上から下へ伝えると鉄棒がまるで蛇の様に地面を這い回った、客から歓声が上がったピエロは自分に歓声が上がっていると思ったのか、クルクルと宙を回転した。 鉄の蛇はクルクル回るピエロの股間に噛み付いたピエロが人のものとは思えない絶叫を挙げて堕ちた。観客は笑った。ピエロだから大丈夫だととみんな思っているのだが
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