星見

4/6
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
ピエロは失神していた、そして数秒すると起き上がり、噛まれたことを忘れたかの様に浮いていた。客の中の小さな男の子が困惑していた。そしてその子が掴んでいる裾の先の女に話していた。 「なんで、あのおじさん、ピエロに意地悪するの?ピエロが可哀想だよ?」 女はクスクスと笑い 「いいのよ、ピエロはね、意地悪してもいいのよ」 そんな話を横目にカメヤマはスタジアム内の楽屋に入って行った。 ピエロと云うのはコスモポリタンが発足した時にそれに対して反抗した人間達の仕事の一つだった。コスモポリタンは皆彼らの事を"星を忌み嫌う者"と呼んでいた。コスモポリタンは彼らを品種改良した。 その結果の一つがあのピエロだった例え命に関わる傷でも彼の意思に関係なくシャットダウンして再起動する。再起動すると彼らの記憶は殆ど失われる。仕事に関しての記憶以外全て消去される。そして死ぬまで働き、いつのまにか死んでいる。その死に用は小鳥の様だった。昨日まで数時間前まで元気だったのに、まるで霧が晴れる様に彼らは死んでしまう過労死だ。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!