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ただこの場を去りたかった… 少しの間だけでいいから一人になりたかった…
誰とも関わりたくない。人と話すのも気を使うのにも疲れた。
どこかに逃げ隠れたい…
会社に行って仕事をして家に帰って嫁と子供の面倒をみる至って普通の生活をしていた。
僕は会社でも家でも中間管理職の立場なのだ。 いわゆる板挟み状態。 両脇から棒のようなもので力強く丸いボールを挟もうとしたら挟めず行きよいよく飛んでいくだろう。そんな感じだ。会社では新人の教育係で新人の中には覚えが悪く文句のようなことまで言ってくる。新人がミスをすれば上司から叱られるのは僕になる。そんなに怒るぐらいなら上司のあんたが教えたらいいと思う。
家に帰れば嫁姑問題を二人からグチグチ毎日言われる。 冷蔵庫の中がどうのこうの料理がどうのこうの子育てがどうのこうのと。6割ぐらいがどうでもいい内容だ。子供はわがままを言ったり言うこときかなかっりと大変だ。
友達と飲みに行くのはめっきり減ってしまって不満のはけ口や息抜きですら出来なくなっていた。とにかく一人になって何も干渉されず何もしたくなかった…かといってそんなこともできる勇気もなかった。
そんなある休日に嫁に買い出しを頼まれ近くのコンビニまで歩いていたら
見知らぬオッさんと遭遇した。
ヘルメットをかぶりメガネをかけてて髭面で泥だらけのヤッケと長靴を履いていた。 視線を感じたので怪しいと思い目をそらした。
そしたらこっちのほうにドンドン歩み寄ってきた。
何何何と思いおっさんが僕のほうを向いて言葉を言った。
「穴があったら…」 と
僕は透かさず
「入りたい…」 と
言ってしまった。
おっさんは
「オッケイ~!!!」 と言って
僕をトラックに乗せ走らせどこかの空き地に連れてきた。
おっさんは
「ちょっと待っちょって」 と言って
おもむろに何かの道具で穴を掘り出した。2メーターぐらいの鉄の筒のようなもので。
何をやっているんだと思い見ていた。まずは小さくそしてドンドンと横に大きくなり
その作業を入れたり出したり繰り返していたら人一人入れるぐらいの穴をスポッと掘り上げた。そしておっさんはヘルメットをとり、額の汗を使いこんだタオルでふき、使い込んだ水筒のお茶を飲みながら言った。
「この地下200メーターに核シェルターがあるけん、あんた、ここで暮らしたらよかじゃんね。」
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