会社員編

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嫁が「はーい」って言ってる。 よそ行きの顔でよそ行きの声になるんだろうな! インターホン越しに 「はい、渡辺です。どちら様ですか?」 家のインターホンのモニターに写っているのは、 あの、おっさんだった… えっ?!!どうして家がわかるんだ? あの人はいったい何者なんだ…? 「こちらは柳屋ケイシイングの柳屋というものですばってん!いまね、御宅のご主人ば預かっちょりますきん、今後のこつの預かり金ばもってきたとですばい!」 「あなたは何をおっしゃってるんですか? うちの主人を監禁したんですか? ?お金って何のことですか?」 「このまま帰ってこんかもしれんですけんねぇ…帰ってこんかった時のために、 3億円ば、もってきたとですタ~イ!」 「えっ!?3億円もってきたって、あなたは何がしたいんですか? 警察、呼びますよ」 「これば、ちょいと見てもらいたいですきん、玄関ば開けちくださいな」 僕は一部始終をみていた… なんだこれは…? かっ金って 僕がここを出ない時は金を家族に渡すのか…? あっあのおっさん…正気か…? 金と僕を天秤にかけるつもりか…? それで僕の家族は、どうおもう… このまま帰ってこなかったら 3億円、手に入れるから帰ってこなくていいとでも思うのか… 嫁や子供や親は、そう思うのか… それだけはヤメテくれー そんなこと、一瞬たりとも思わないでくれ…(涙) ここから先のおっさんとのやりとりを見るのが怖い… いや家族みんなは、僕が帰ってくるのを望むに違いない… そう信じたい… あっ!嫁が玄関を開けた!!! あの警戒心の強い嫁が開けた! なぜだ!? あのおっさんと少し会話をすれば誰もが心を開くのか? でも僕もすんなり受け入れてしまった。謎だ。 おっさんはニコニコしている! どうもどうもみたいにペコペコしていてる。
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