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畦道を渡った、絵里と老婆は、閂を外して大きな門を開ける。香りがして筋が入っている。小さな手と、皺くちゃな手で開けると、更に、硬い大きな扉がある。分厚く冷たい。絵里はそう手の平で感じた。ベルを押す老婆。「はいどなたですか?」ベル越しから声が聞こえる。「その声はおにーさんかい? あたしだよ開けておくれ」ハンドルロックが解除され、ガガガと音を立てながら開く。
中では、沢山の人々が縦一列に並んでいた。その人達は、皆んな哀しそうな表情をしている。視線を左方向へと向けると、絵里や老婆よりも、帽子を被った、大きな男の人が、物凄く大きな椅子に座って、同じく大きな机の上にある書類に判子を押している。
「おばあちゃん、あのおっきなおじさんは、なにをしてるの」
「司法の判断をしているのさ」
「しほうってなあに」
「前にいる人達に、功績を調べて良いか悪いかを教えて、これから向かう所を教えてあげてるのさ」
絵里は首を傾げた。難しい事だらけだ。司法、功績って言われても・・・向う所、記憶にないのも影響していた。
こっちへ向かって来る、毛の薄いおじいちゃんがいる。「あ、おにさんだ」指をさす絵里。
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