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日課にしているジョギングを、永瀬に抱かれた翌朝はさすがに休む昂平だ。 腕の中で眠りを貪っているその寝顔を、永瀬は愛しげに眺める。 今日は朝御飯も昂平の手作りではなく、学校に向かう途中の行きつけのパン屋さんで調達して、研究室で食べることになるだろう。 「昂平君、そろそろ起きないと」 「ん…」 起こし起こされる立場が、いつもと逆だ。 重たそうに瞼を震わせて、昂平は甘えるように永瀬の胸に顔を埋めようとする。 「昂平君?朝練休むの?」 そんな仕草も可愛いが、昂平が朝練をサボるようなことになると、後でしっかり目が覚めたときに彼が酷く反省して、平日のお誘いをしばらく断り続けることになるのは目に見えているから、永瀬はそのまま寝かせてあげたい衝動を堪えて、もう一度声をかけた。 「……起きる」 掠れた声が答える。 そして、もそもそと永瀬の腕の中から抜け出て行ってしまう。 「シャワー浴びてくる」 事後、そのまま抱き合ったままで眠ってしまったので、彼は何も身にまとっていなかった。 鍛えられたしなやかな背中には、永瀬がつけた幾つものキスマークが浮かび上がっていて、もう一度ベッドの中に引きずり込みたくなる卑猥さがある。 「だから、平日はやだって言ってるのに…マジ、ダルい」 昂平は、まだ少し寝惚けているような声だ。 怒っているような口調でブツブツ文句を言いながら、不機嫌に浴室のほうに消えていった。 そんな昂平には、さすがに一緒に入ろう、とは声をかけづらい。 嫌だと拒まれたのに、身体を快楽に引きずり込んで誤魔化して、無理矢理抱いてしまった罪悪感は、一応永瀬にも少しはあるのだ。 それも、昂平自身には全く非のない、他の男から興味を持たれたということに焦りを感じてした、かなり身勝手な行為だ。 仕方ないので、汚れたシーツや脱ぎ散らかした衣服をまとめて洗濯機へ放り込んだり、軽く寝室を掃除したりして、昂平が浴室から出てくるのを待った。
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