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しかし、浴室から出てきた昂平は、そんなに怒っていないようだった。
むしろ、ここのところ感じていた変な距離感みたいなものがなくなっている。
肌を合わせたことで、何か気持ちが落ち着いたようだった。
愛しいと思う気持ちの半分も伝えきれないと思いながらも、ひたすらに愛を囁いたからか、伝えきれない思いを熱に変えて、そのしなやかな身体の隅々までに塗り込め、刻み込んだからか。
「朝御飯、俺もあんたの研究室で一緒に食べていい?」
美味しいコーヒー淹れてくれるだろ?
そんな可愛いことまで言ってくれたら、永瀬の顔が綻びっぱなしになっても仕方ないと思う。
「もちろん」
僕もシャワー浴びてきちゃうから、待ってて。
永瀬は少し浮かれていて、だから、その可能性を忘れていた。
研究室に昂平が来たら、早川と鉢合わせるかもしれないことを。
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