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堀越昂平の朝は早い。 毎朝5時に起きて、軽いジョギングに出かける。 帰ってきてシャワーを浴び、身支度を整えたら、朝御飯の支度。 朝から割としっかり食べる派なので、味噌汁を作り、魚を焼く。 ご飯、味噌汁、納豆、焼き魚、サラダ。 旅館の朝御飯系だ。 ご飯ができたら、同居人を寝室に起こしに行く。 「永瀬、ご飯できたぞ、起きろ」 しゃもじを手に、ベッドを覗き込みながら起こす昂平の姿は、どこからどう見ても立派なお母さんだ。 しかし、お母さんと違うのは。 ベッドの中から、もぞもぞと裸の腕が伸びてくる。 「ん……昂平君、おはよ」 その腕が昂平の首に巻き付き、続いて上半身が毛布の中から現れたかと思ったら、唇にチュッとキスされる。 「いつも、ありがとう」 にっこり笑う永瀬は、たいていパンツ一枚のスタイルで、全然恥ずかしげもなくベッドから降りてくる。 おそらく全裸でも同じ感じだろう。 そのキラキラした王子様顔の美人は、そんな綺麗な顔のくせに、そういうところが非常に無頓着だ。 昂平のほうが目のやり場に困って、意味もなく怒りながらダイニングに戻ることになる。 「あんた、ホント寝起き悪いよな、マジでムカつくし」 「え?僕、そんなに起きなかった?結構すぐ起きたと思うんだけど」 永瀬は首を傾げながら、昂平の後をついて行く。 時折背後から甘えるようにおぶさりかかったりして、昂平に煩がられたりしながら。 朝御飯を食べたら、洗い物をしている間に永瀬が身支度を整えて、それから、永瀬の車で一緒に学校に行く。 昂平は朝練があるので、永瀬には少し時間は早いのだが、研究室でやることはたくさんあるから、といつも一緒に行きたがるのだ。 昂平は、本当は一人で自転車で行ったほうが、帰りもわざわざバイト先まで送迎して貰う手間が省けていいのだけれども。
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