1.藤崎!日本に帰ろう!

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そんな愚痴をこぼしたら、ホテルのバーで爆笑されたが…。 「いや、お前、顔も悪くないしさ、モテない訳じゃないだろ。」 「きっぱり、この国ではモテてないと思います。」 「そんな訳ないと思うがなぁ…」 わざわざ、クワンティコまで来た俺にその言い草ですか。 「今さ、民間の警備会社も個人の警備にチカラ入れてんだって。俺の大先輩が警備会社にいるんだけど、お前に興味あると思う。個人の警備を教えるための教官クラスの幹部が欲しいみたいで。 でも、サツ官で警備部ならエリートだから、辞めないでしょ。」 こっちで、仕事したら?と言われた。 「日本で仕事、とか考えたこともなかったです。でも、教官、とか面白そうですね。」 「意外とお前に向いてる気がする。それにさぁ、こっちでずっと仕事すんの?」 いずれ、帰ることを考えているなら、キャリアになるうちに帰ったら、と言われ、それもそうか、と思ったりする。 一度、その先輩に聞いてみる、と言われた。 数日後、その警備会社の取締役部長、という人からメールが来た。 なんとも、素早い。 しかし、そのスピード感は藤崎の好むところでもある。 やはり、個人警備の教官として来て欲しいということで、待遇もまあまあだった。 別に心残りはさほどない。 それにアメリカではキャリアアップのための転職は当然だ。 上司に退職を告げ、1ヶ月後には日本にいた。     
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