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とにかくパッと見て、外見が可愛い子と話そうとした。
慧にとってネコは、純粋な心を持ちながら素顔を表に出すような子。
自分に好意があるのかと思わせて、いつの間にか相手に好かれようと必死になる。そういう子と甘い空間で寛ぐのが好きなのだ。
この条件に該当するのは、とお目当ての子へ足を進める。迷いのない真っ直ぐな足取りで向かう。
あっ、あの子いいな。
そう思えばタチの慧は、身体の神経がゾクッとした。逃すまいと目当ての子に対してラフに話しかける。
「こんばんは、君の隣いいかな?」
目当ての子を恐がらせないように、そっと近寄る。初対面という緊張感を解すために二人でまったりと話した。
時間が経つ度にお酒の酔いも脳内に回り、判断能力が低下する。
話しかけた時よりも表情が緩み、目当ての子
はほろ酔いのようだ。
そんな可愛らしい子へと成長する『男』。
これはいけると確信した慧は、段々と身体を寄せて距離を縮める。
果実が甘く熟した頃合で、可愛い子をグイッと押してみる事にした。
「相手が居ないなら、今晩の話し相手になってくれるかな?」
この言葉を発した事により、驚いたように目を合わせてくる。
やっとこちらを見てくれた。
目線の先にいる可愛い子は、頬を真っ赤な林檎のように染め上げる。返事を返す前に、近くに置いていた酒を飲む。
「ぼ、僕なんかで良ければ・・・・・・」
こういうお店に慣れていないような口振りが、また可愛らしさを増していく。
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