第1章 クリスマスイブ

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待ち合わせはクイーンズスクエアのスヌーピータウンショップ前。 伊勢崎マユは、ブーツのヒールを刻みつけるように歩いていた。 ケンジは遅刻の常習犯だ。 それを見越してコーヒーブレイクしていた。 どうせ東急線で来るだろうから、桜木駅前のスタバにいたのに、全く連絡がつかないのだ。 たった10分程度のつなぎのはずが、1時間も居てしまった。 何となく店員の視線が痛い。 イブでカップル客が多いのに独りで居るのも相当痛い。 白い息を弾ませ、観覧車を見る。 19:36と馬鹿にするように4桁の数字が見下ろしていた。 夏と違って、冬の19時台は夜に近づいた感じがする。 ブランド物のバッグ一つ位じゃ許さないから。
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