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光沢紙の中の翔は、ふつうの大学生では買うのも躊躇いそうな複雑な形をした洋服を、見事に着こなしていた。中性的な顔立ちと体つきに、絶妙にフィットしている。漆黒の滑らかな髪は、素材を活かしてなのか、余計なセットはされていない。素人のさくらには、それが却っておしゃれに見えた。
幼稚園から高校一年生までの翔は、さくらから見て、宝石の原石だった。磨き方をまだ知らない、荒削りな美しさ。
けれど、モデルを始めた高校二年生から、翔は圧倒的に垢抜けた。翔の持つ本来の美しさを上手に活かして、輝かせる術を知っていた人間に、翔は出会ったのだ。
さくらは、スマートフォンを取り出した。ホーム画面から、インスタグラムのアイコンをタップする。〈フォロー中〉から、ミサキのアカウントを表示した。
ミサキは、さくらが高校生の頃からすでに、人気者だったモデルだ。同世代の女性からの支持が厚く、現在ではフォロワーが五十万人近くいる。
ミサキの最新の投稿は、モデル仲間とのディナーの様子だった。おしゃれな大人っぽい雰囲気のお店で、全員がワイングラスを傾けている。
きらびやかなモデルたちの中でも、ミサキは圧倒的に美しい。美しいのに、少年のような無垢さも感じる。会ったことはもちろんないが、実際に会うと、なおさらオーラのようなものも感じるのだろう。
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