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私は俊輔と羽田空港からタクシーに乗った。
タクシーは第二ターミナルから第一ターミナルの前を通り、A滑走路をトンネルで抜けて国際線ターミナルの横を通った。
そして交差点を右に曲がり環状八号線に入った。
その時だった。
タクシーの右、空港の制限エリア内から眩しい光が近づいて来た。
ジェットエンジンの音もする。
それは滑走路二二をオーバランし、空港制限エリアを超えて道路に侵入して来た“岡山“発の極東航空ボーイング七八七だった。
私達が悲鳴を上げた時は、もう遅かった。
私達の乗るタクシーは、その飛行機の主輪に踏み潰された。
一瞬の出来事だった。
翌日のニュースが以下の様に伝えた。
『昨日は羽田空港で二件の極東航空機による事故が発生しました。伊丹からの四〇便が着陸に失敗し東京湾に墜落し、乗員乗客全員三八五名が亡くなりました。また、その約一時間後、岡山からの六六〇便が滑走路二二への着陸に失敗。滑走路をオーバランして空港外に飛び出し、丁度空港外周道路を走っていたタクシーと衝突しました。六六〇便の乗客乗員は全員無事でしたが、タクシーに乗っていた運転手と乗客二名が亡くなりました」
「非常に珍しい偶然ですが、タクシーに乗っていて死亡した高山俊輔さんは、当初伊丹からの四〇便に搭乗する予定でした。しかし直前で搭乗をキャンセルし、新幹線で東京に向かっています。そして何故か羽田空港を訪れ、この事故に遭っています。結局、飛行機事故からは逃れない運命だったとしか言い様がありません」
予知夢は確実にリベンジを果たした。
FIN
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