27人が本棚に入れています
本棚に追加
私は到着の二時間以上前から羽田空港第二ターミナルの到着ロビーで俊輔を待っていた。
俊輔を待っている時間は非常に不安を感じていたが、一方で私はリベンジに絶対打ち勝てると強く信じていた為、気持はとても前向きだった。
私の前には、液晶の掲示板があり到着便が早い順に並んでいる。
俊輔の便はまだ、下の方だった。
便が到着する度にアナウンスがあり、また荷物の受け渡しが完了すると、その便は掲示板から消えていく。そして俊輔が乗った便の表示が少しずつ上がって行った。
到着予定時刻は定刻という表示だった。
二一時三二分だった。
到着予定時刻の三分前に、俊輔の便のステータス表示が突然”遅延”になった。
私は嫌な予感がしたが、ただの遅れかもしれない。
その後、三〇分経っても、俊輔の便だけは”遅延”のまま掲示板に取り残されていた。
何人かの乗客が騒ぎ始めた。私の精神も動揺始めた。
その時、スマホの画面にニュース速報が流れた。
『伊丹発の極東航空ボーイング七八七、東京湾へ墜落。乗員乗客三八五名絶望か』
私は立ち上がった。
そして両手で顔を抑えて大声で泣いた。
到着ロビーを歩く人達が泣き叫ぶ私を見ていたがそんな事はどうでも良かった。
予知夢に勝てると確信していたのに。
羽田空港で俊輔を待って、彼と逢えたら高らかに勝利宣言するつもりだったのに。
逆に予知夢のリベンジを成功させてしまった。
私は大声で泣き続けた。
最初のコメントを投稿しよう!