リベンジとの戦い

予知夢

その時だった。
大きな腕が背後から私を抱きしめた。

左手に見慣れた腕時計が見える。
「えっ！？」
「綾。ごめん。心配させたね」
私は手を振り解いて、そして振り返った。
それは紛れもなく俊輔だった。

「し、俊輔、ど、っ、して・・？」
私の顔は涙と鼻水で一杯だった。
「やっぱりあの飛行機墜落したね。また綾に守って貰った」
俊輔は私を力一杯抱きしめた。
「し、俊輔、な、なんで、の、ってなかったの？」
私はまだ声がうまく出なかった。

「伊丹空港に向かう車の中で工場長の東京出張が突然キャンセルになったんだ。それで工場長はそのまま帰ってしまったんだけど、僕一人で飛行機に乗るかもう一度考えたんだ」
「それで羽田空港で心配そうに待っている綾を想像して、リスクが少しでも有るなら止めようと思って、飛行機の搭乗をキャンセルして、新大阪からのぞみに乗って品川に。そこから京急で今羽田に着いた所さ」
「えっ、何故、変更の連絡を・・」
私はやっと落ち着いて来て、俊輔に聞いた。
「ごめん。丁度、携帯のバッテリーが切れていて変更の連絡が出来なかったんだ。羽田でも携帯無いから逢えるか不安だったけど、聞き慣れた泣き声が聞こえたから直ぐに綾を見つけられた」
俊輔が嬉しそうに微笑んだ。

私は少しムスッとした。
「今、私の事、泣き虫って馬鹿にしたでしょう？」
私は、ちょっと怒って見せた。
そしたら、またギューと抱きしめられた。
「馬鹿になんかしていない！ 綾は僕の為に泣いてくれたんだろう。とても嬉しかった。僕も君の事、とても大事だし、愛している」
私は耳まで真っ赤だった。
「私も俊輔の事大好き！！ ありがとう私の所に帰ってきてくれて」