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父も母も公共交通機関の事故で亡くなったので、私は多額の保険金と慰謝料を受取る事が出来た。その為、その後の生活に困窮する事は無かった。
また、一人暮らしにはなったが、住み慣れた自宅での生活は、父や母の記憶と一緒に暮らす事が出来て、私の精神の安定にも繋がっていた。
二二歳で就職して、直ぐに俊輔と婚約した。そして、私の家で俊輔との同棲が始まった。
私の事を心配して俊輔が押し掛けて来たと言うのが事実に近いが、私も俊輔が居てくれるのは大きな支えになっていた。
母が亡くなった以降、私は予知夢について色々考えていた。
予知夢で見た事は確実に現実になる。
ただ、母の事例の様に夢と現実に多少の齟齬があった場合、例えば予知夢では、
『母が武蔵小杉行きのバスに乗り事故に遭い亡くなる』
というストーリーだった場合も、私が車で送った結果、それが実現出来ないとなると、
『母が武蔵小杉”から“のバスに乗り事故に遭い亡くなる』
と言うストーリーに修正されて実現される。
結果、母がバスの事故で亡くなると言う予知は実現されてしまった。
私はこれを予知夢の”リベンジ”だと考えた。
つまり、もっと大胆に予知夢の事実を修正しない限り、私の大事な人を守る事は出来ないと言う事だ。
私は、その考えを肝に銘じて毎日を過ごしていた。
そして、もう永遠に予知夢を見る事が無い様に天に祈っていた。
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