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そして一ヶ月前、久しぶりに予知夢を見た
俊輔が羽田行きの飛行機の事故に遭い亡くなる夢だ。
私は気付いていた。
その日は俊輔の岡山工場への出張の日で、彼は羽田と岡山を極東航空のフライトで往復する予定だった。
私は飛び起きた。
横を見ると、既に俊輔は居ない。
急いで階下に降りると、スーツを来た俊輔がダイニングテーブルに座り、パン頬張りながら、いきなり現れた私を振り返って見た。
「綾、おはよう。今日は出張で早く出るから、まだ寝てていいぞ」
私は俊輔の前に座った。
「俊輔、今日の岡山出張は中止して欲しいの。どうしても行くなら新幹線で行って」
俊輔は突然現れて訳の分からない事を口走った私を見て大きく首を振った。
「大事な用件だから中止出来ない。それにもう切符も買ってるし、マイルも貯めてるから飛行機で行くよ。いつも冷静な綾なのに・・どうしてそんな突拍子も無い事言うんだ?」
私は真剣に俊輔を見つめて言った。
「私は今まで三回予知夢を見た。友達の加奈、父、母、全て現実になった。今日、貴方が飛行機事故で死ぬ夢を見た。だから、絶対に飛行機に乗らないで欲しいの」
俊輔は大きく目を開けて私を見ていた。
「予知夢を見た話は前に聞いた。でも、僕はそれは綾の勘違いだと思っている。事故の後にそう言う風に思い込んだじゃないかなって・・」
私は大きく目を見開いた。俊輔は私の事信じてくれて無かったんだ・・
私は頬に涙が伝わるのを感じていた。
それでも絶対、俊輔を止めないと
「でも、俊輔!」
その言葉を制して俊輔が続けた。
「でも少なくとも、今日、綾は僕の予知夢を見たんだね。それじゃ僕が飛行機で出掛けたら綾は気が狂っちゃうよね。分かった。今回の出張は新幹線で往復するよ。それでいいかい?」
そう言うと、俊輔は笑顔で私を見つめた。
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