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黒、紫、赤、ピンク、水色。
いくら様々な色で彩っても、
乱れた心は隠せないんだ。
あまつさえ、穴をあけたり、飾りを付けたり、柄でごまかしたり。
迷走する世の中に俺はどうしても訴えたい。
白こそ神聖で高潔な存在なのだ! と。
一点の汚れも許さない白こそ崇拝すべき存在なのだと。
純白。
それは文字通り純粋な色。
つまり、どこまでも広がる大海原のように、
すべてを包み込み、他を寄せ付けない色。
俺はこの素晴らしさを世に広めるために今日も街へ出かける。
街中で蠢く数多の人間を眺めながら、この中のいったい何人が美しい心を持てているのだろうかと考える。
込み上がる激情が心臓の鼓動を早め、呼吸を浅くさせた。
いかん、いかん。すぐに怒るのは俺の悪い癖だ。
抑え込むように俺は深呼吸を繰り返す。
ハァ、ハァ……
落ち着かない動悸と、整いきらない呼吸をそのままに、俺はまず布教活動のための事前調査をすることにした。
どれくらいの人間に純白の素晴らしさが伝わっているのか、この目と耳で確認しなければ始まらないのだ。
そして、汚れてしまった人々を導き、世の中を正していくのが俺の使命なのだ!
ちょうど向かいから女子高生が歩いてきたので俺は話しかける。
可憐な少女はきっと美しい心を持っているはずだと信じたかった。
「ハァ、ハァ……、お嬢さん、今日は何色のパンツ履いてるの?」
~おわり~
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