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田口さんとは、家が近い。
しかし、共通点はこれといってなかった。
田口さんは中学になって引っ越してきたから、小学校時代は知らない。
部活は私がバスケ部で、田口さんが陸上部だから、放課後も接点がなかった。
それでも、会えば雑談するくらいには仲が良かったし田口さんの爽やかな笑顔は私はとても素敵だと思っていた。
「どの、グミがオススメ?」
「とりあえず、王道のこれはどう?」
「めっちゃ勧め慣れてる!」
そう言って田口さんは笑う。
ひとしきり笑うと田口さんは少し真面目な顔をして言った。
「ねぇ、好きな人とか、付き合うとかって謎じゃない?」
「えっあぁうん、そうだよね。てかすごい急!!」
恋愛偏差値が2ぐらいしかない私には難しい質問だった。
「ははは、急だね。まぁでもいいじゃないの。聞いてよ。」
私は首を立てにふる。
そうだ、田口さんはこの前クラスメイトの松石の告白メッセージをスタンプ1つでフッてたんだっけ…。
「私、中1の時にさ、男友達が私の親友のことが好きだって言うから仲を取り持とうと頑張ったことがあったんだ。」
「マジか。結構それって大変じゃない?」
「そうなんだよ。男も真剣な顔してたから、いちよう頑張ろうかと思ってさ。そいつは友達思いだし、顔もまぁまぁで評判良かったから。親友も、もしかしたら興味あるかと思っちゃったんだよ。」
「へぇー、それで?」
「二人を引き合わせて、ID交換してさ、そっからは二人で友達からみたいになってたけど…上手くはいかなかったみたい」
「そうゆうこともあるよね」
恋愛偏差値2では、こうゆう返ししかできないのだ。
「でもさぁ、驚いたのがその男友達がさ、二週間後には違う女の子と付き合ってたわけだよ。」
「切り替え、早っ!」
「でしょー。というか、そうなってくると、もはや同時期だったんじゃないかって思えてくるわ。」
田口さんが手に取ったグミを軽く潰している。
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