望んだものはただ、ひとつ

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 そんなリオンの横に立ちジェラルドに紅茶を入れて労わってくれるのは、リオンとは正反対に華奢なシェリダンだ。仕事の邪魔にならないように顎のあたりで切りそろえられている銀の髪は真っ直ぐで、けぶるような菫の瞳はどこか冷たさを感じさせる。鍛えても筋肉が付かなくて、と本人が苦笑するようにスラリとした四肢は男らしさをあまり感じない。背も平均より少し小さいので、平均よりも高いリオンと並ぶと頭一つ半の差が出てしまう。頭ではわかっているが言葉にするとどうしても硬質的になるため口を開くことを嫌うシェリダンは交渉等人と関わることには向かないために、書類作成や裏付けといった表にいく前の仕事を任されていた。交渉事が苦手ではあるが、ジェラルドが目をかけるだけあって彼も優秀であり、仕事は早い。因みにシェリダンはリオンよりも年下で、確かアルフレッドの一つ下だったとジェラルドは記憶していた。もう一人別の省で下っ端ではあるがシェリダンよりも更に一つ下の者がいるため最年少ではないが、それでも若いことには変わりない。 「先程後宮管理省のジルア殿が来られておりましたよ」  先程まで会議であったので当然リオンの言うジルアは最高責任者の名前ではなく下っ端執務間の名前だ。 「こちらを」  横からスッと差し出された書類を受け取る。差し出したのはシェリダンで、いつものことながら双子のように無言の連携が上手に出来ている。 「わざわざ書類にしてもらわなくてもこの程度であれば常に把握はしているのだがな」  ざっと書類に目を走らせたジェラルドはそれ以上深く読むことはなく机の上に書類を置いた。内容は先程会議でも取り上げられた後宮の満室の件だ。
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