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『鐵の街』
血液と硝煙の臭いが辺りにこびりついていた。
摩天楼の様な鉄骨の超高層ビルがまるで竹林の様に存在する都市『イグナテス』。
夜が降りてきたその街の一角にある廃ビル、電灯が切れかけているのか明かりが明滅するその場所の一階フロアに、二人の人影があった。
煤けた桃色の髪に紅のメッシュとインナーカラーを入れ、くすんだグレーの瞳を持つ長身の女性。
鮮やかな金色の髪をそのままに流し、溢れ出たばかりの鮮血のような赤い瞳を持つ小柄な少女。
凡そその場に似つかわしくない少女二人が、その手にこれまた不似合いな銃を携えていた。慣れた様子でそれを握り、長身の少女が暗視ゴーグルを徐ろに外した。
「一階クリア、上に連絡をされる前に綺麗に片付いたわね」
「おつかれさまでーす、蓬」
「作戦中はコードネームで呼びなさい『起爆者』。戦場でアリスと呼ばれたいの?」
「ごめんなさーい『殲滅者』」
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