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【「アニマルセラピーです!」】
「ふぁい……」
アルコールの抜け切らない体は酷くだるい。
インターホンの呼びかけに情けない返事をし、のろのろと玄関へ向かう。
先程帰りがけにノリで頼んだアニマルセラピー。新しいサービスだなと思ったが、さぞや俺の日々の疲れをさぞや癒やしてくれることだろう。待ってろ、可愛いワンワン。具体的には柴犬。
扉を開けるとそこにはなかなかのイケメンが立っていた。ほほう、女子受け狙いという訳か。
「遅くにすみません、サインとかいりますか?」
デリヘルってどうなの? サインいるの? これ似たようなもんだよね? 動物だから違うか。失礼しました。
「あっ、ここにお名前頂けると……」
言われるままに署名する。酔っているせいか字がふにゃついているが読めない程ではないだろう。
「ありがとうございます、それではお邪魔しますねー」
言うなりイケメンは部屋の中に入り込んできた。え、なんで? ワンコは? 柴犬は?
「あ、あの……犬は……?」
当然の疑問を投げかけるとイケメンは一瞬キョトンとした表情を浮かべ、何かを理解したようににっこり笑った。
「申し遅れました、自分アニマルセラピー協会から派遣されてまいりました柴です。どうぞ癒やされてください!」
癒やされてくださいってアナタ……
俺は途方もなく立ち尽くした。
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