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【1日目、おやすみなさい】
狭い。何がってベッドが。
しかし体は温かい。背中をポンポンとリズミカルに叩かれて眠気が襲ってくる。あぁ……結構心地良い。
これが女の子だったらな!!!
「? どうしました市ノ瀬さん、眠れませんか?」
「……眠れそうだけど眠りたくありません」
寝てたまるか男の腕の中で!
心が叫んでいる。
そもそもどうして一緒に寝ることになったのかと言うと、柴さん曰く「犬ってそういうもの」だからだ。
ならば仕方あるまいと頷いてしまった俺は多分まだ酔っていたのだ。だっておかしいもの、そんなの。
「市ノ瀬さん」
「はい」
「今日もいっぱいお疲れ様でした」
「うわぁっ!?」
舐めた! この人今顔舐めましたよ!?
理由聞いたら犬ってそういうものだからって言うんだろう! 知ってるんですからね!!
手で拭うのも失礼かなー、なんて思って目の前にある柴さんのシャツに顔面をぐりぐり押し付けた。こっちの方が絵面的にはヤバいけど構っていられるか。
「わー、市ノ瀬さんがモフってくれてるー」
違いますー。拭いてるんですー。
ようやく落ち着いたところで顔を離すと柴さんがうとうとしていた。
そのうち本格的に寝息が聞こえ始めて来る。
……いや、お前が先に寝るんかい。
仕方ないな、犬ってそういうものだから……
その後俺は悔しながら男の腕の中で眠りについた。
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