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1 幼少
生まれたときのことなんか覚えてないけど、気がついたらひとりぼっちだったことは覚えてる。
小さいぼくでも立ち上がれないくらい天井が低くって、暗くて寒かったから、どうにか頑張って明るい方へはっていったんだ。あんまり力の入らない手足をめいっぱい使って、やっとのことで天井の外へ出た。上から冷たいものがいっぱい落ちてきて、明るいけれどかえって寒くなった。今思えば、雨が降ってたんだから外に出なくてもよかったし、晴れの日の明るさとくらべればちっとも明るくなんてなかったんだけど、そのときのぼくはそんなことも知らないくらい何にもわからないチビだったんだ。
外に出て、雨に打たれて、寂しくなったぼくは、お母さんを呼んで鳴いた。恥ずかしいけど、小さい頃ってそういうものだろう?ぼくはいっぱい鳴いた。一生けんめい鳴いた。ずっと、ずうっと鳴いた。本当にずっと鳴いたんだ。だけど、お母さんは来なかった。見たこともないお母さんを呼んでいたわけだけど、来てくれないのがすごく寂しかった。
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