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再会
――1週間後。
すっかり風邪が治った俺は、あの日の出来事を忘れたままバイトへ復帰した。
出勤するなり、店長よりあれから毎朝5時過ぎに龍ヶ崎がお店に顔を出すようになった、と報告を受ける。
そして俺のことを『心配して待っている』と。
その時、すっかり忘れていた1週間前の龍ヶ崎とのやりとりを思い出す。
あ……!そう言えば携帯の番号、ズボンのポケットに入れっぱなしで洗濯しちまった!
まぁ、でも病院には(お金なくて)行ってないし。
向こうも、本当に俺が連絡してくるとは思ってもいないだろう……
連絡したらしたで、バカじゃねぇの?って言われるパターンだろ?
まぁ、するつもりは最初から全くないけど……
なんてぼんやり考えながら、モーニングの準備をしていると店のドアが開く。
「いらっしゃいませ、おはようございます」
店長のその声で振り向くと、そこには龍ヶ崎が立っていた。
纏っている空気が洗練されており、相変わらず大物オーラが漂っていた。
「……あいつ、俺につけてくれ」
龍ヶ崎は、俺を指差しながら店長に指示する。
俺は内心、キャバクラか!と突っ込みつつ店長からのアイコンタクトで龍ヶ崎の接客を担当する。
「おはようございます、龍ヶ崎様。ご指名ありがとうございます。」
内心とは裏腹に、接客用のとびきりの笑顔を作る。
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