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「……なんで連絡してこなかったんだ」
相変わらずサングラスをかけているせいで、表情が中々読めない。
「えっと……」
困って俺は視線を泳がせる。
「言っただろ、風邪ひいて病院行くようだったら電話しろ、って!それに叩かれた頬、大丈夫なのか?」
そうセクシーな声で言うなり、叩かれた方の頬を愛おしそうに触れる。
その触り方が妙に艶めかしく、思わず男の俺すらもドキッ、としてしまう。
「あの後、あんたのこと……心配になって、次の日も同じ時間に通った。そうしたらやっぱり風邪ひいたって言うじゃないか」
……店長、俺のプライバシーは守られてないんすね!
思わず心の中で叫ぶ。
「あんたから電話かかってくるの、この1週間ずっと待ってた。だけど、一向にかかってこないし。店長に連絡先聞いたけど、教えてくれなかった。……あの時、時間なくても家まで送れば良かったって……今更、後悔してる」
苦々しそうに呟き、サングラスを外す。
「今日は、家まで送らせてくれよ。せめてもの詫びに。どうせお金は受け取らないだろ?上がり何時?」
突然の龍ヶ崎の申し出に、そこまでしてもらう意味が分からず困惑する。
「あっ、あの……もう風邪も治りましたので結構です。そんなことまでされますと、上に怒られてしまいますので」
やんわりと申し出を断る。
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