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「いらっしゃいませ、おはようございます」
店内にいた店長が、今朝1番の客に挨拶をする。
ちなみに、店長はこの店ナンバーワンのイケメンで接遇に厳しい、30代半ばの頼れる男である。
男は、無言で窓際の1番奥のソファ席へとそのまま座る。
ただ座っているだけなのに、不思議と洗練された良い男オーラを感じる。
やや緊張しながら、俺はお冷を準備して席へと伺う。
「ホットコーヒー、ブラック……」
俺が何も言う前に、男は低くセクシーな声で一言そうオーダーした。
「かしこまりました」
一礼をし、すぐにオーダーをキッチンへと伝える。
あれ、今の男どこかで見たことあるような……?
確か、今売れてる俳優……だっけ?
ふと見覚えのある顔に、男が誰であるか思い出そうとするが、この店は各界の著名人御用達の高級店である。よくある光景なので、それ以上考えないことにする。
客のプライバシーには、絶対に詮索するなと、店長やオーナーから常日頃言われているからだ。
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