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その後も
「次の人お入りください」
「失礼します」
扉が開くと中年を迎えたスーツ姿のサラリーマンが椅子に腰をかけた。
中田は履歴書を見ながらジッと張り詰めた顔になる。
「我が社の面接をなぜ受けようと思ったのかね。志望動機をお話し下さい」
「志望動機ですか、うーん。ちょっと待って下さい。そうですね。待遇が良さそうだと思ったからですかね。あとは休日はしっかり休めそうですし。あとはうーん」
「そうですか。わかりました」
中田部長はその後も履歴書を確認しながらいくつか質問をした。相手が答えるたびに溜息が出そうなのを我慢した。
「わかりました。それでは面接結果は後日郵送にてご連絡致します」
「このような貴重なお時間を頂きましてありがとうございます。失礼します」
転職希望者は背を向けて扉を開けて出て行った。
中田部長は机に頭を擡げた
「駄目だ」
履歴書の束を見ながら我慢していた溜息をついた。
椅子から立ち上がり、窓の外を眺めた。
「あいつのような優秀な人材が見つかりそうにない」
机に座りなおして頭を抱え、前のめりにうなだれた。
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