優秀な人材

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優秀な人材

高滝は注文したコーヒーが目の前のテーブルに置かれるのをゆっくり見届けてた。時計を見ると待ち合わせから五分ほど経過していた。待つこと自体はなんともないがあまり遅れてなら連絡をした方が良さそうだと思った。 すると入り口のドアが開き、見覚えのある顔がこちらに近づいてきた。 「久しぶりだな。元気していたか」 喫茶店に入ってきた猿渡は満面の笑みが溢れていた。 猿渡は肩の荷を全て降ろしたような快活さがあり、一緒に働いている時には見せたことのないような輝いた目をしていた。 明らかに仕事で働いていた時より声の調子も良く、肌の血行も健康そうで、何より全ての重圧から解放され、自由を獲得した本来の人間の姿をこの目で見たような気がした。 「いや。あの会社に10年間、全力で駆け抜けてきたからね。そろそろ何か別の自分を見つけたくなったんだよな」 「別の自分だって」 「毎日、満員電車に揺られながら家とあの会社の往復の人生について考えていると本当にこのままでいいのかと思えてきてね。本当はまだできる事が沢山あるじゃないかと考えるとまずは行動を起こさないといけないなと思ったわけだ。自由は表現だと思うからその自由を表現していければきっと自分を満足させること出来ると思うんだ」
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